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鈴欄

SUZURAN

進化するだまし絵展







Bunkamura25周年特別企画
だまし絵Ⅱ
進化するだまし絵
@Bunkamura ザ・ミュージアム


2014/8/9(土)−10/5(日)


古くから見る人の目をあざむくような仕掛けをもつ「だまし絵」
進化していく現代美術の展開
視覚的に興味深く芸術性に優れた作品の仕掛けを解き明かす
現代の新しい「だまし絵」への挑戦




プロローグ


「だまし絵」とは文字通り「目をだます」絵
ルネサンス後期のヨーロッパ
ある絵の中に別の像を潜ませるダブル・イメージ


アルチンボルドの《司書》
トロンプルイユの代表作、ピアーソンの《鷹狩の道具のある壁龕》
事物の影に至るまで克明に描写することで「本物」の事物であると錯覚
古典的巨匠たちが技巧をつくした「だまし絵」の到達点




トロンプルイユ



「本物と見まごう」
「リアリテリィ」に対する根本的な問い


カズ・オオシロ
日常目にするモチーフを本物そっくりに再現
タネあかし
床に無造作に置かれたアンプは表面だけが精巧に描かれたもの
後ろに回るとそれが木枠に貼られたキャンヴァス



ヴィック・ムニーズの「裏面」シリーズ
名画の裏面を再現
等身大ですべてを忠実に再現
まるで本物の絵画が後ろ向きに置かれているかのような錯覚




福田美蘭のCopyrightシリーズ
ディズニーのアニメーションフィルムの有名な場面をアレンジ
キャラクターを判別がつかないぎりぎりのところまで隠して表現




シャドウ、シルエット & ミラー・イメージ



「影」「鏡」
実体に付随するべきこれらのモチーフを主役に据え、
実体から切り離すことで、不在を表現
虚像と実体の間の固定観念を打ち破る



福田繁雄の《アンダーグランド・ピアノ》
床に置かれた得体の知れない黒い物体が、
鏡像の中ではじめて「正しいかたち」として浮かび上がる



マルクス・レーツの《姿見》
壁につけられた銅線が鏡の中では、人物の横顔のシルエットに変貌





オプ・イリュージョン




オプ・アート
幾何学的なかたちや色のシステマティックな配置によって錯視効果を引き起こす抽象絵画



ヴィクトル・ヴァザルリ
反復するパターンと色彩のグラデーションによって、
脳に画面の上での凹凸を知覚させる



パトリック・ヒューズ(イギリスのアーティスト)
視覚や脳に直接働きかけるイリュージョンヘの高い関心
「リヴァースペクティヴ」
(「リヴァース(反転)」と「パースペクティヴ(遠近法)」の合成語)
描かれた情景の遠近と画面の物理的な凹凸とを逆転
観る者が左右に動くにつれてイメージが動き出す(ように見える)仕掛け




アナモルフォーズ・メタモルフォーズ


アナモルフォーズの手法
遠近法の技法を「逆利用」してイメージを法則的に歪め、
一定の視点から見ることで正像を浮かび上がらせる




エヴァン・ペニー
極端に引き伸ばしたり、傾斜させたりして歪めた人体を彫刻で制作
それを現実空間の中に置く
イメージの世界でしか起こらないはずの出来事を現実の世界に現出させる


メタモルフォーズの手法
距離や見方を変えることでひとつのイメージを別のイメージへと変貌させる




シュルレアリストの画家マグリット《赤いモデル》
見慣れた個々の事象が、通常とは異なるやり方で結びつけられ、
現実にはあり得ない情景が生み出される
靴と足という似て非なるものを巧みに結びつけた類似性により
両者の異質さを際立たせる
あたかもイメージ自体が目の前で変容していくような錯覚




シュルレアリストの画家ダリの素描に基づき、
写真家ハルスマンが現実のモデルを用いて綿密に再現し撮影した《官能的な死》




ヴィック・ムニーズ
おもちゃの兵隊を実際に並べて作り上げた自画像のインスタレーションを写真に撮った《自画像》